院長です。今回は、少し難しいテーマです。親子で顔が似ていることはよくあることです。つまり、顎顔面(顔)の形の特徴は遺伝的な影響を受けていると、私たちは思い込んでいます。それは、鼻であたり、眼であったり、唇であったり、顔の特徴が親子間や家族間で似ているからです。

顎骨と歯は遺伝的な影響を受けていることは明白な事実なのです。そうすると、次に「不正咬合は遺伝的要因によって起こりうるのか」という疑問が出てきます。

不正咬合を起こす病因としての遺伝的役割についてははっきりした証拠はいまのところ無いのです。そこで、現在では、不正咬合は本来、遺伝的に決定された歯・顎顔面の形態が、発育上の変動、外傷、口腔機能等の要素によって変化することにより形成される。つまり、顎骨が何らかの機能的影響で発育不足が起きる場合に顎骨が小さいところに遺伝的なそのものの大きさを受け継いだ歯が生えてくると、その結果きれいな状態で並べずデコボコな歯並びになるという理論です。